3.人と動物が繋がる

答えは1つじゃない

「あのコミュニケーターと、言ってることが違うのは何故?」
これは、複数名のアニマルコミュニケーターに依頼した方からのよくある質問です。この原因は、個々のコミュニケーターの「繋がり方」にあります。人と動物は深さと幅がある「層」で繋がります。繋がる層によって変わる、動物たちからのメッセージの違いをお伝えします。

携帯電話は、通話ボタンを押すと相手先に繋がります。誰が電話をかけても、同じ人に同じように繋がります。

一方、アニマルコミュニケーションで動物と話すとき、相手と繋がる場所は層になっていて「幅と深さ」があります。

この繋がる層(幅と深さ)によって、話の内容が変わってきます。同じコミュニケーターが同じ動物と話をしても、繋がり方の深さによって会話の内容は全く違うものになるのです。

本章では、第2章で触れた「交換ー相手と繋がる」のステップについて、さらにその詳細を解説します。

動物と「繋がる場所」で、答えが変わる ー ペットと繋がる「3つの階層」ー

人間と動物の意識が繋がるとは、動物が持つ「アンテナの領域(意識の層)」に、私たちの「思い(電気信号)」が届くことを指しています。

動物(生き物)のアンテナの領域は、大きく分けて3つの階層に分かれています。

例えば:動物の意識を「海」だと仮定
波が立つ水面近く(外側)で会話をするのか、少し潜って海中(中間)を見るのか、あるいは光の届かない海の底(中心)まで深く潜って一体化するのか。どの深さまで潜って繋がるかによって、見える景色や受け取る情報が大きく変わります。

ここでは、外側(浅い層)から順番に、3つの層の特徴を説明します。

【外側の層】言葉や映像で対面して話す(日常会話向け)

一番浅く繋がった時、私たちは動物と「向かい合って対面している」ように会話をします。

動物自身がハッキリ認識している事柄を、言葉や映像で受け取ります。人間同士の普段の会話にとても似ているのが特徴で、日常会話などに適しています。

【中間の層】意識を行き来する(問題行動の解明向け)

外側の層(浅いところ)と中心の層(深いところ)の中間にあり、外層と中心層を行ったり来たりします。

動物と話しているうちに、コミュニケーターの集中が変化し、繋がる位置が移動することで起こります。多くのコミュニケーターが、普段はこの中間の層で繋がっています。

表面的な意識と無意識の中間にあるため、ペット自身が「ぼんやり認識している」、飼い主も「言われてみれば、なんとなく心当たりがある」ため、問題行動の原因を解明し、改善する際に最適な層です。

【中心の層】感覚を一体化する(亡くなった動物と話す時)

一番深く繋がった時、私たちは動物と「完全に一体」となります。

動物自身が認識していない深い感情や感覚、身体状態を体感します。動物が思っていることが自然と自分の頭の中に浮かび、動物の痛い箇所が自分も痛くなるのが特徴です。

亡くなった動物と話す時は、自然とこの一番深い層で繋がるようになります。

「コミュニケーション」の本質的な意味は「共に有る」ことです。動物と深く繋がると、私たちは思考、感覚、感情が一体となり、まさに「共に有る」状態になります。ただし、この深いコミュニケーションは日常会話には不向きです。そのため、プロのコミュニケーターは、話したいテーマや状況に合った階層で繋がるトレーニングをしています。

階層によって変わる感覚 ー「見える・聞こえる・感じる」の視点が変わる ー

3つの階層によって、コミュニケーターが受け取る「感覚」には明確な違いが出ます。

【階層別:感覚の伝わり方の違い】

繋がる層視点(誰の目線か)映像・言葉・感覚の特徴
外側人間目線
映像は肉眼に近い。味や匂いなどの体感はなく、「美味しいよ」と言葉で伝わる。
中間人間と動物目線が混在する(行き来する)映像は霧のようにぼやける。体感と言葉が混ざり合い、「美味しい」という言葉と感情が同時に伝わる。
中心動物目線相手の目線で見える。味覚や嗅覚、体感、感情がダイレクトに自分の身体に反映される。

ここでは、犬に「好きな食べ物は何?」、猫に「好きなおもちゃは何?」と同じ問いをした時に、それぞれの階層で感覚がどう伝わってくるのか、具体例を紹介します。

外側の層で繋がった時の感覚

「好きな食べ物は何?」
皿の中に入っているフードが(人間目線で)見える。味や匂いではなく、「美味しいよ。美味しい匂いだよ」など、言葉に抑揚が含まれて伝わってくる。

「好きなオモチャは何?」
猫が遊んでいる姿やオモチャが(人間目線で)見える。「楽しいよ」など、言葉に興奮した気持ちが含まれて伝わってくる。

中間の層で繋がった時の感覚

「好きな食べ物は何?」
特定できないボヤッとしたモノが見え、「ご飯」と言葉が伝わる。味や食感を少し感じながら、「美味しい」「嬉しい」と感じたり、食べている時の感情が伝わってきます。

「好きなオモチャは何?」
猫目線または人間目線のボヤッとした映像が見える。興奮した感情を感じつつ、「楽しい」と感じる。

中心の層で繋がった時の感覚(一体化)

「好きな食べ物は何?」
自分がフードを食べている体感があります。お皿に顔を突っ込むので、距離が近すぎて物の特定はできず、最後にお皿の底が見えます。自分の口の中に味や感触が広がり、ヨダレが出ます。躍動する感情と、減っていく寂しさをダイレクトに感じます。

「好きなオモチャは何?」
自分が遊んでいる体感があります。オモチャが動いているので特定できず、「仕留める!」という強い意思と、抑えきれない興奮を自分の身体で感じます。言葉は、自分が独り言を言っているような感覚になります。

このように、外側の層は「人間の私」が受け取っているので分かりやすいですが、深くなるにつれて動物側に近くなり、中心層では「動物そのもの」になります。つまり、アニマルコミュニケーションとは、人間の得意な「思考(分かろうとする世界)」から、動物の得意な「感覚(感じる世界)」へと入っていく体験です。

問題行動の本質 ー 本音は無意識の中にある ー

繋がる階層が違うと、受け取る感覚だけでなく、動物からの「返答の内容(本音)」そのものも変わってきます。

これは心理学でいう「顕在意識(表面の意識)」と「潜在意識(無意識)」の性質に似ており、私たち人間にも同じことが当てはまります。

例えば:泣いている子に「どうしたの?」と聞いたと仮定
⚫︎外層の思い(顕在)
「あの子にオモチャを取られた!」と怒っている。
⚫︎中層の思い(前)
「ボクのおもちゃ…」と悔しさと悲しさが混ざっている。
⚫︎中心の思い(潜在)
「遊びたいけど、本当はもう眠たい…」

子供自身は「おもちゃを取られたから怒っている」と自覚していますが、一番深いところにある本質的な理由は「眠たい(無自覚な欲求)」です。

動物たちもこれと同じで、特に「問題行動」の改善には、この一番深い本質(中心の層)を聞くことが不可欠になります。

問題行動の本質を探る

例えば:他犬に吠える愛犬に対し「どうして他の犬に吠えるの?」と質問した際の階層にる返答。

「外側」表面的な言葉:「やるかぁ!」と他犬に怒鳴る言葉が聞こえる
「中間」の思い:「オレは強い」とママへのアピール感情が含まれる
「中心」無自覚な本音:「ママは頼りにならないから(守らなきゃ)」ママに対する「しょうがないなぁ」という感情

表面的な行動(怒り)と、本質(ママを守らなきゃという使命感)が一致していないので、問題行動の原因が分かりずらくなります。

全てが本当の気持ち

例えば:ケージの近くを通るたびに鳴く保護猫に対し「何故泣くの?」と質問した際の階層にる返答。

「外側」表面的な言葉:「面白いの。私が鳴くと走ってくるでしょ」ウキウキした声が伝わる
「中間」内面の思い:「いつも、走ってきてくれるのが嬉しいの」安心感と感謝の感情が含まれている
「中心」無自覚な本音:「寂しいから・・・」不安で沈む感情と、ママの顔が見えた途端に一気明るくなる感情が伝わる

どの階層の返答も嘘ではなく、その動物の本当の気持ちです。
ですが、問題を根本から解決したい場合は、動物自身も認識していない一番深い本質(中心層)に共感し、アプローチする必要があります。

章のまとめ ー 繋がる深さを変えることで、本質的な話ができる ー

本章では、アニマルコミュニケーションは繋がるポイント(層)によって話の内容が変わることを説明しました。この章の重要なポイントを振り返ってみます。

1. 動物と繋がる3つの階層のまとめ
動物の意識には「外側の層(日常会話向け)」「中間の層(問題行動の解明向け)」「中心の層(亡くなった動物との対話向け)」の3つの階層があります。技術を磨くことで、話したいテーマに合わせてこの階層をコントロールすることができます。

2. 受け取る感覚の違いのまとめ
浅い層では「対面している私」が言葉や映像を受け取りますが、深い層にいくにつれて「動物の目線」になり、感情や痛みをダイレクトに感じるなど、動物そのもの(一体化)になっていきます。人間の「思考」の世界から、動物の「感覚」の世界へ入っていく体験です。

3. ペットの無自覚な気持ち(本音)のまとめ
動物の返答は、階層によって例えば「表面の怒り(外側)」から「無自覚な不安(中心)」へと変わります。どれも嘘ではありませんが、問題行動を根本から解決するためには、最も深い「本質(潜在意識)」に共感しアプローチする必要があります。

「繋がる」のは偶然ではなく、技術です。正しく学ぶことで、この階層はコントロールできるようになり、1つの質問から「現実的な話」から「本質的な話」までを聞き分けることができます。

最も深いところで繋がった時、人間と動物は一体となります。動物の感覚を「自分の身体で再現する」という、圧倒的な体験がはじまります。本章では、繋がる深さによって答えが変わり、「意思を伝える」ことから「生命を共有する」コミュニケーションへと変化することを紹介しました。

次章では、受信した信号を「変換」する際に必ず入り込む、コミュニケーター自身の「個人の特性(気質や性格)」について解説します。