誰もが愛犬や愛猫、ペットと心で会話できる日常が来ると、確信しています。この世界を広げるために、アニマルコミュニケーションを依頼する飼い主さんと、伝えるプロそれぞれにお願いしたい「信頼」の築き方についてお話ししていきます。
アニマルコミュニケーションが日常になる日が将来的には来ると思いますが、それが一時的なブームで終わらず、社会の当たり前のインフラとして定着するために今すべき課題があると強く思っています。それは「信頼の構築」です。
この章では、アニマルコミュニケーションに関心を持たれた皆さんにも考えていただきたい「依頼する側の責任」と「伝える側の責任」「育てる側の責任」について考えていきたいと思います。
「うちの子の気持ちを聞いてほしい」と思う方へ ー 依頼する側の責任 ー
正しいアニマルコミュニケーションの普及は、コミュニケーターだけの課題ではないと思っています。むしろサービスを利用する「飼い主さん側の理解・選択」が、アニマルコミュニケーションの理解を広めると思います。飼い主さんにも、一緒に暮らすペットのために、協力していただきたいとお願いします。
動物の特徴を知るー「言いたくないことだってあるんだよ」 ー

ペットとはどんなことでも話せますが、時には飼い主が期待した返答が得られないこともあります。有意義なセッションをするために、アニマルコミュニケーションで知っておいてほしい動物の特徴をまとめました。
1.動物も「個性」があります
どんな動物もスムーズ返答してくれるとは限りません。誰とでも話せる動物もいれば、人見知りする動物もいますし、コミュニケーターとの「相性」もあります。何度か話すうちに警戒心がとれ、色々な話をしてくれることもあれば、思い切って別のコミュニケーターを試した方が良い場合もあります。
2.動物には「苦手な質問」があります
動物は、「今、ここ」の感覚で生きているため、経験していない未来を思考する質問(例えば「弟か妹欲しい?」など)は苦手です。動物の返答が「・・・」と無言になったり、適当なこともあり、「欲しいと言うから弟猫を迎えたら、本猫は怒ってしまった」ということもあります。
3.問題行動は改善しないことがあります
問題行動のほとんどは「動物が置かれて環境で最善を選んだ結果」です。この動物の行動の要因は、概ね動物の個性や生育歴・健康状態・環境・家族との関係です。この要因の何も変えずに動物だけに行動の変化を求めても、改善はないです。行動が変わる要因は、飼い主が「行動を変えることに同意できる提案し、実行する」ことです。
アニマルコミュニケーションでは、動物の個性や特性によって「答えづらい質問」があることを、知っておいてください。「アニマルコミュニケーションの依頼」については、こちらのページに更に詳しく書いてあります。
アニマルコミュニケーターの特徴を知るー「話せても、全部わかるわけじゃない」 ー

これまで説明してきたとおり、動物と話す唯一の道具は「個性や偏りを持った人間」です。そのため、セッションの内容にはコミュニケーターの特性が必ず反映されます。誤解のないセッションをするために知っておいてほしいコミュニケーターの特徴をまとめました。
1.アニマルコミュニケーターには得意・不得意がある
コミュニケーターは、動物から送られてくる膨大なメッセージの全てを完璧に認識できているわけではありません。複雑な感情を受け取っても、自分が感じやすい感情だけをピックアップしてしまうことがあります。自分の偏りを自覚し、それを補うことができるのは、経験豊かなコミュニケーターです。
2.「外れ」に思えることが、実は核心かもしれない
コミュニケーターの話に「うちの子に限ってそれは無い」と、思われることがあるかもしれません。例えば、家の犬は足を引きずっていましたが、身体の中を観ると問題の根本は腎臓でした。最も深い層(中心層)で繋がるコミュニケーター(リンク)は、顕在化されていない本質や、動物自身も自覚していない核心を拾います。そのため、一見すると「心当たりがない(外れている)」と、思われやすいです。
3.アニマルコミュニケーターは「間違う」ことがある
受信の段階で間違うコミュニケーターはほとんどいません。間違い(ノイズ)が入るのは、人間の言葉に翻訳して飼い主さんに伝える時です。だからこそ、「自分の思い込み(捏造)をチェックする技術」が不可欠です。この技術を持っているかどうかは、コミュニケーター本人に直接確認するより他に方法はありません。
アニマルコミュニケーターに国家資格はありません。各団体が独自の基準で任意の資格を授与しています。ですので、現状は「動物と話せる程度」から「返答を掘り下げ、核心を聞ける」までコミュニケーターの技術に幅があります。
アニマルコミュニケーターを育てる

信頼できるアニマルコミュニケーターが存在すると、動物にとっても飼い主さんにとっても「安心」です。飼い主さんが、そんなアニマルコミュニケーターを育てたり、知らせたりすることができます。
1.積極的にセッションに参加します
セッションは、動物とコミュニケーターと飼い主さんの「3名」で作ります。飼い主さんは、動物への「質問」だけではなく、動物への「提案」も、セッションの進め方についての「意見」を出してください。飼い主さんが積極的に関わることで、コミュニケーターも多くのことを学ぶチャンスが生まれます。
2.セッション後はフィードバックをします
少し手間かもしれませんが、「事実と違います」「セッション後に〜な変化があった」などコミュニケーターにフィードバックをお願いします。私たちコミュニケーターは、飼い主さんへ説明する機会を得たり、自分の間違いに気づくことで、向上していきます。
3.困っている人のために口コミを広げよう
信頼できるコミュニケーターに出会えた方は、是非「ここに信頼できるコミュニケーターがいるよ!」と広めてください。その口コミが、動物との関係で悩む誰かを救い、本来のアニマルコミュニケーションを育てていく強力な力になります。
共にセッションを作っていく姿勢を持ち、誠実なプロを応援することが、アニマルコミュニケーションの未来を作る力になります。
「誰かの役に立ちたい」と思う方へ ー 伝える側の責任 ー
アニマルコミュニケーターの在り方がアニマルコミュニケーションの未来を左右すると考えます。伝える側を志た方には、倫理観と能力と技術を高め続ける姿勢が必要になります。
アニマルコミュニケーターの倫理観

アニマルコミュニケーターの仕事は、飼い主さんとペットの生活に深く入り込むため、確固たる倫理観が求められます。私たちは常に、ペットと飼い主さん、その関係性を尊重するところからスタートします。(詳しくは倫理規定ページをご参照ください)。
1.必ず「飼い主の承諾」を得ます
アニマルコミュニケーターは、動物の決定権を持っている人間の許可を得ます。
動物が伝えたい相手、思いに答えられる相手は飼い主です。散歩中の犬に話しかけられても、うっかり重要な話を聞く前に挨拶程度で切り上げてください。また、動物の要望を直接飼い主に伝えられない「雑誌やネットの写真の動物」「動物園や水族館の動物」と勝手に話すことにも、私は反対の立場をとっています。
2.飼い主とペットの「守秘義務」を守ります
アニマルコミュニケーターは、飼い主とそのペットのプライバシーを守ります。
SNSでセッションの様子を発信することは普及に有効ですが、飼い主さんの許可はもちろん、「ペット自身の承諾」も得なければなりません。(私自身、過去に無断で愛猫のエピソードを書き、本猫に怒られた経験があります)。私たちは、どのような状況の動物であっても(野良猫など)、私たちを信頼して話してくれた彼らのプライバシーを尊重します。
3.自分の価値観で「飼い主を裁かない」
私たちは飼い主さんの選択や誤解を評価したり、批判することはありません。
むしろ、悩みを持ちながら「ペットの事を理解したい」「現状を変えたい」と依頼される飼い主を尊敬します。動物は、時として飼い主の対応や生活環境の改善を求めることがあります。ですが、どの様な状況下でも飼い主を批判することはなかったです。私たちは動物の意志を尊重し、敵対するのではなく、調和を持って飼い主に接します。
アニマルコミュニケーションの技術

「ペットと飼い主が互いに深い理解と信頼を育む」その架け橋になるのがアニマルコミュニケーターです。そのために、以下のスキルが不可欠だと考えます。(併せてアニマルコミュニケーター養成・支援プログラムページ)をご参照ください)。
1.「捏造・妄想のチェック」をアニマルコミュニケーションとセットで身につける
これまで5章を中心にお伝えしたように、人間の脳には物事を自分都合に書き換えてしまう特性があります。特別な訓練を積まない限り、必ず解釈のノイズが混入します。動物の純粋な思いを届けるためには、話す技術以上に「自分の妄想を客観的に見極め、排除する力」を徹底して身につけなければなりません。
2.質問に応じて「階層」を使い分け、本質・解決に導く
3つの階層で詳しく触れたように、どの深さで同調するかによって、メッセージの質は変わります。例えば、何気ない「お気に入りのオヤツ」を尋ねるなら外側の層で、深刻な「困った行動」の本質を尋ねるなら、心の核になる中心の層での対話が不可欠となります。質問の本質に合わせて繋がる深さをコントロールする技術が必要です。
3.飼い主との信頼関係を築くコミュニケーション力
アニマルコミュニケーションの成果は、飼い主との信頼関係が重要なポイントです。
①話を聞く
丁寧にヒアリングし、飼い主さんが安心して参加できるアニマルコミュニケーションにします。
・飼い主さんが動物に尋ねたいことの「本質」を聞きとる
・飼い主さんが無意識に思っている「伝えたいこと」を確認する
動物への「質問や伝言」が明確になっている飼い主さんでも、その奥には無自覚な「本音」があることもあります。
②伝える
・最初に「できる事」「できない事」の説明をして、誤解のないセッションをします。
・「アニマルコミュニケーターは、動物のメッセージに忠実である」こと、そのため飼い主さんの耳に痛い返答も、ありのまま伝えることを、理解してもらいます。
・アニマルコミュニケーションを「コミュニケーターと動物だけのものにしない」ように、飼い主さんもまじえた会話にします。
学び続ける姿勢
アニマルコミュニケーターは生涯学び続ける姿勢が必要です。

アニマルコミュニケータはゴールではないです。日々のセッションから学ぶだけではなく、自主練習やグループ練習を通して、感覚を磨いたりスキルアップを生涯目指します。
ここでは当方のアニマルコミュニケーター支援プログラムをご紹介します。
1.ケース・スタディに参加
プロとプロを目指している方が集まり、問題解決のためのワークショップ・ケーススタディをします。ここでは、話の「原因」「課題」「本質」を聴く力を、グループワークを通じて他者や講師のフィードバックから、自分にはない発想や「解決策」を学びます。
2.実践練習に参加
動物対象のイベントやマルシェにグループで参加し、リアルタイムで飼い主さんとペットとコミュニケーションをします。短い時間で簡潔なヒアリング、コミュニケーション、カウンセリングの技術を高めます。
3.社会貢献活動に参加
年に数回、動物保護団体を支援するためのチャリティーイベントをします。アニマルコミュニケーションを通じて家を求める動物、傷ついている動物の思いを聞かせてもらい、新しい家族探しのお手伝いをさせてもらいます。
「プロを育成したい」と考えている方へ ー 育てる側の責任 ー
アニマルコミュニケーションの社会的な評価の本質的は課題は、プロを育成する側の「アニマルコミュニケーションについての理解」にあると考えています。講座やスクールの運営者の課題は大きいです。
講師に求められること

アニマルコミュニケーションの社会的な評価の本質的は課題は、プロを育成する側の「アニマルコミュニケーションについての理解」にあると考えています。講座やスクールの運営者の課題は大きいです。
①動物と話すスキル
あらゆる種族や多様なテーマでのセッション実績が、教える側の基盤となります。学ぶ人たちが直面する様々なケースに適切な助言を与えるには、少なくとも以下の経験が求められます。
・野生の動物、保護動物、ペットとのセッション
・犬、猫、鳥、爬虫類や魚類など様々な種族とのセッション
・亡くなった動物、病気の動物、問題行動など様々なテーマでのセッション
・アニマルコミュニケーターとしての豊富な臨床データー
②指導するスキル
教える側には受講者との「感覚を共有する力」が必要です。
受講した全ての人がアニマルコミュニケーションができるようになるためには、教える側が個人々の「感覚の動き・認知・使い方」の指導をする必要があります。この指導のためには、感覚を共有する能力が必要です。この能力はトレーニングで身につけることができます。
③学び続ける場の提供
プロとしてデビューした後の継続的な支援も、育てる側の務めです。
プロとして活動し続けるためには、セッションの相談、スキルチェックやスキルアップの場が必要になります。定期的なワークショップ・ケーススタディを通じて、アニマルコミュニケーターが飼い主や講師からフィードバックが得られる環境を提供します。
アニマルコミュニケーターの「標準的なスキル」を作るために

アニマルコミュニケーションの「信頼」について、一番の課題は「アニマルコミュニケーターの資格の問題」だと思います。
世界的にも「統一された認定資格」は存在しません。「アニマルコミュニケーターの認定」を掲げていても、それが実力を裏付けるものではないのが現状です。確かな技能を社会の標準とするためには、教育を担う各組織が連携し、共通の基盤を築く努力が求められています。
現在、資格保持者の実力は「知識を学んだ段階」から「厳しい実技を突破した段階」まで非常に大きな開きがあります。質を重視する立場と、普及のために門戸を広げる立場。この両者の隔たりを埋めることは容易ではありません。
この課題を乗り越えるため、私たち教える側が、「アニマルコミュニケーションとは何か」を今一度自身に問う必要があると思っています。
その上で、現場の声を拾い集め、その成果を社会に示し続ける責任があります。一つひとつの事例を検証し、透明性を持って公表していくことが、最も誠実で現実的な一歩になると考えます。
章のまとめ ーアニマルコミュニケーションが当たり前の社会になるためにー
この章では、アニマルコミュニケーションが社会のインフラとして定着するための「信頼」作りについて、それぞれの立場で求められる「責任」について考えてみました。
本章の重要なポイントを振り返ってみます。
1.依頼する側(飼い主さん)の責任のまとめ
資格の定まっていない業界だからこそ、自分の思い込み(捏造)を排除する技術を持った本物のプロを見極め、応援する人が必要です。飼い主さんが、セッションに積極的に関わり、結果をフィードバックし、良い口コミを広げる、そのことが健全な業界を育てる最大の力になります。
2.伝える側(プロ)の責任のまとめ
アニマルコミュニケーターには、飼い主と動物の尊厳を守る高い「倫理観」と、自分の思考ノイズをチェックする「確かな技術」が不可欠です。プロになった後も、客観的なフィードバックを受けながら学び続ける姿勢が求められます。
3.育てる側(講師)の責任のまとめ
プロを育成する講師は、圧倒的な経験値と「個人の感覚を指導するスキル」を持ち、デビュー後も安全に相談・学べる環境を提供し続けることが重要です。そして、透明性を持って現場の事例を発信し、業界全体の質の向上に貢献する責任があります。
携帯電話の仕組みを知らなくても誰もが安心して通話できるように、アニマルコミュニケーションの仕組みが分からなくても、誰もが動物と「心」で語り合える未来。そんな日常を創るのは、私たち一人ひとりの誠実な選択と行動だと、思います。
ここまで読み進めてくださったあなたに、心から感謝申し上げます。
私が本稿で一番お伝えしたかったのは、「アニマルコミュニケーションとは何か」という事です。
一般的に「動物の通訳」や「動物と人間の会話のツール」と言われていますが、アニマルコミュニケーションの本質は繋がり方の深さによってもたらされる、圧倒的な「生命の共有体験」です。
アニマルコミュニケーションを実践していく中では、「自分の思い込み(ノイズ)」という必ず出会う課題があります。
それは、私たちが「言葉を使って思考する人間」だからこそ起こることです。コミュニケーションの唯一の道具が「自分自身」である以上、偏りや揺らぎは生まれます。その偏りや揺らぎが「個性ー私らしさ」でもあります。
だからこそ、私たちアニマルコミュニケーターは生涯自分自身を追求していくことが課題になります。動物という鏡の前に立ち、「自分の思考のクセ」に気づき、人間の特性を受け入れ、補う努力をしていきます。
アニマルコミュニケーションとは、「世界をそのまま生きる(感覚する)動物」と、「世界を頭で理解する(思考する)人間」の間に、橋をかける行為です。
この橋が架かることで、一次的には動物たちの生活環境が向上し、彼らがもっと生きやすくなります。しかし、その恩恵を誰よりも大きく受け取るのは、私たち人間の方です。
言葉や思考に頼っている私たちが、彼らを通じて、もう一度「豊かな身体感覚」を取り戻す。そして、この世界の観方や感じ方を、より深く、重層的なものへと変えていく。これこそが、アニマルコミュニケーションが私たちにくれる、かけがえのない価値(ギフト)です。
アニマルコミュニケーションは、人間を人間らしく、動物を動物のままで、認め合い、暮らせる、動物好きにとって大変素晴らしい方法だと確信しています。アニマルコミュニケーションを、動物と生活する全ての人に届けたい。
あなたには、かけがえのない動物がいますか?
あなたの人生が、動物たちとの豊かな「生命の共有」に彩られることを、心から願っています。
